自転車の旅
朝、起きてみると、曇り空。それほど暑くない。
今日は経由地点の富山実家に到着する。
今日通る道は、初めて自転車で旅に出かけた時と全く同じ道を逆走する。
国道8号はスイスイと問題なく進む。
倶利伽羅峠はトンネルがあるものの、そのトンネルが怖い。
トンネルに至るまでの道は緩やかな傾斜で、難なく上ることができた。
トンネルを抜けると、富山県入り!
:: 富山県入り口(富山県) ::
きたぞ、故郷
もうここからは地図なんてほとんどいらない。
自転車の旅で初めて昼飯を食べたコンビニ、初めて写真を撮ったところ。
2年前の話なのに、こんなにも鮮明に覚えている。
あのころの新鮮さは今も薄れていない、そんな気がした。
知らない町は自分にとって新鮮なものだった。
そこに住んでいる人には「当然」の景色かもしれないが、自分にはそうではないから。
新鮮さとともに疎外感みたいなものも感じることもある。
知らない町は本当に知らないだらけで、何がどこにあるかなんてわからない。
所によってはコンビニの場所さえも聞かなければわからない。
それに比べて、故郷の富山は見慣れた景色だ。近道もわかる。
そんな当たり前なことを感じているうちに望郷の念が積もっていったんだろう。
途中、母校の高校に立ち寄った。
ホッケー部、懐かしい。顔も名前も知らない後輩が活躍しているのがうれしかった。
少し話して、実家に向かった。
勿論、通りなれた近道で。
14:30に実家に到着。興奮気味の祖母がいた。
最初、日本縦断には家族一致で思いっきり反対された。
でも強引に押し切った。それだけ決心はついていた。
:: 中継地点、実家に到着(富山県) ::
実家前でぴーす!
夜には家族がそろい、自分の日焼けの異常さに驚いていた。
富山で3日間くらい休んで装備を調えようと思う。
自転車はあちこち故障しているし。
久しぶりに実家の風呂に入り、ゆっくり過ごした。
富山の実家にいる間に自転車の修理に出かけた。
今乗っている自転車を買ったショップに行った。
(1) ブレーキシュー(後) 710円
(2) ホイル 8000円
(3) グリップ交換 1300円
(4) グローブ 3300円
ブレーキシューは溝がほとんど無くなっていた。ブレーキシューが焼き切れたら怖すぎる。
坂道なんかを想像すると恐ろしい。
ホイルは、スポークが1本だけおれているのかと思っていたが、見てみると、計3本も折れていた。
さすがにこれは買い直さなければならない。
グリップには亀裂が入り、ボロボロになっていたので、新しいものに交換した。
グローブは新たに買った。今までは軍手などで代用していたが、すぐにほどけてボロボロになるので買うことにした。
使用感はなかなかいい。
こんな感じで13000円の出費となった。
:: 荷物(富山県) ::
準備万端
早速自転車に乗ってあちこち出かけた。祖母の家にも自転車で出かけた。
荷物がないので軽い。グングンスピードがでる。車道(脇)を突っ走る。
結局自転車に乗っていた。
準備万端、さて、北に向かって進むのみ!
いよいよ再出発。目指すは北海道宗谷岬!
まずは国道8号にのって新潟に向けて走り出す。
新潟はやたら長細く、隣の富山県から200km以上ある。
ちょうど一年前に富山から仙台、仙台から横浜へ自転車で旅した時とほぼ同じ道。
それだけにほとんど記憶にある。
特に親不知。あの断崖絶壁っぷりは記憶に鮮明に残っている。
今日は涼しく、気温が23度程度。
ずっと海岸線沿いを走る。さすがに日本海は波が荒い気がする。
:: 国道8号(富山県) ::
ここから断崖絶壁が始まる
途中、道の駅「能生」に寄った。海岸線にあるので、風力発電のプロペラがグルグル回っていた。
プロペラ・・・プロペラにはついこだわりがある自分。特に低速プロペラには・・・。
:: プロペラグルグル(新潟県) ::
環境に優しい風力発電
親不知は相変わらず断崖絶壁で、洞門がたくさんある。
さらにその洞門はアップダウンが激しい。
富山-新潟間を結ぶ国道だけあって、トラックなどの交通も盛んだった。
新潟県の国道8号には、一部自転車用道路なるものがある。
車道から少し高いところにちゃんとしたアスファルト敷きの道が整備されている。
必要な場所にはトンネルまで掘ってある。
これは感激。風の強い国道8号にとってこれはとてもありがたい。
専用トンネルで、人気もないのでいきなり叫んでみる。響くぞ。
:: 自転車専用トンネル(新潟県) ::
トンネルの中で雄叫びが響く
新潟県上越市に着くころには雨がぱらついてきた。
テントを張る気もしないし、場所を探すには暗くなりつつあったので旅館に泊まることにした。
晩飯は弁当屋で済ませた。明日は雨らしい。嫌な予感・・・。
今日は天気が悪かった。今までの中で抜きんでて天気が悪かった。
出発するときから雨がザーザー降っていた。
しばらく様子を見たが、やむ気配がないので雨天用装備に変えて出発。
雨天装備はサイドバック、フロントバックに袋をかぶせている。
使っている袋は、100円ショップで買った自転車の荷物にかぶせる袋。
安っぽいビニールで破れやすいが、ゴムが入っていて覆いやすい。何より安い。
理想を言えば、サイドバックのメーカーが売っている専用品を買えばよいが、高い。たかが袋なんだから。
道の駅「米山」にはりっぱな野宿施設があった。
屋根があり、畳もあるし、扉まで。
さらにこの近くでは新鮮な魚介類を直売している。
野宿施設には一冊のノートがあり、誰でも書き込める。
見てみると、いろんな人の思いでが詰まっていた。
さっそく自分も書き込んだ。”自転車日本縦断中!”と。
:: 道の駅「米山」(新潟県) ::
野宿ができる立派な施設。おばちゃんも優しい
途中、やんだりもしたが、午後からはずーっと雨雨雨。
時に強い雨も。さらに風が行く手を阻む。
車やトラックは勢いよく水を跳ね上げ、ずぶ濡れ。靴の中なんてもうぐしゃぐしゃ。
気温は夕方になるとグングン下がり、さむっ!
切なくなる瞬間もあったが、こうなったらもう根性だ。
ガンガン進んで何とか新潟に到着。
今日は友人宅にお世話になった。晩飯までごちそうになってしまった。
あぁ、ありがたや。おまけにビールまで。
あぁぁ、うめぇぇえ。プハー
自分、幸せ者です。ありがとう、K!
サイドバックの中の荷物は大きなゴミ袋に入れておけば、防水バッチリだったのだが、それを怠りひどい目にあった。
中の地図帳がシワシワに・・・。あらら。
実家(富山)が近い。
九州にいるときは途方もなく感じたのに。事実、北海道なんて遠くてまだまだ想像がつかない。
まず最初の難関は滋賀県と福井県の県境にある峠越え。
ちょうどロードに乗っている3人組を発見。国道161を上っていくようだ。
これはチャンスとばかりに、後を追っかけた。
しかし、相手はロード、自分はMTBでしかも重たい荷物を載せている。
それでもひぃひぃとノンストップで頂上まで到達。
汗だくだけど、気持ちよかった。上りがあれば、下りもある。
下りはスイスイ。楽に 50km/h は越える。自動車を追いかける感じで下っていった。
国道8号と合流し、福井県敦賀市入り。
懐かしの国道8号。初めて自転車で旅したとき、国道8号がスタートだった。
敦賀湾沿いに走る。遠くに原発らしきものが見えた。
トンネルとアップダウンが続き、なかなか疲れる。トンネルはさすがに怖い。
しかもあちこち工事している。
道の駅「河野」で一休み。ここも昔休憩したことがある道の駅だ。
懐かしすぎる。ちょうど思い出の道を逆走している。
ここまでなかなかのハイペースで進んできた。
もしかしたらこのまま富山県入りできるのではないか、と思えてきた。
福井市で軽く道に迷いながら、金沢市にむけて走っているとき、いきなり雨が降ってきた。
よくある通り雨。ちょうど、道の駅「さかい」があったので、雨宿りした。
そこで自分の体のある異常に気づいた。
右腕がやわらかい。というか、プニプニしてる・・・。
さわった瞬間は自分の腕とは思えない、気色の悪い感触。
おそるおそるTシャツの袖をめくってみると、水泡がボコボコできている。
なんじゃこりゃぁぁ!うわぁ、気持ち悪っ!!まるで、ゴーヤだ!
背筋が凍るとはまさにこのこと。水泡がプニプニする。
潰すと中から水が出てくる。さらに気持ち悪い。思い切って全部潰してしまった。
よく見てみると、左腕にも少しできてる。原因は明らかに日焼けによるものだ。
日焼けには要注意だ。
(※写真のせようかと思いましたが、本気でひくのでやめました・・・)
そんなことをしていると、いつの間にか雨はやんでいた。
途中、北潟湖の横を走った。夕日が反射して、きらきら輝く湖はきれいだった。
:: 北潟湖(石川県) ::
きらきら輝く北潟湖
この北潟湖、以前途中で知り合った自転車友達と写真を撮ったことがある懐かしい場所。
携帯のメールアドレスを交換したが、その携帯をこの前水没させてメモリーがぶっ飛んだ・・・
国道8号のバイパスを爆走し、金沢市を目指す。
ところが、いきなりの土砂降りに見舞われた。かなり激しい。
近くのコンビニに一時雨宿り。ちょうど旅するライダーと会った。
いきなりの土砂降りで困ってた。もちろん自分も。
おにぎりを食べたり、ライダーとしゃべったりしておさまるのを待った。しかし、やむ気配がない。
結局ライダーの人は完全雨天装備にして、出発していった。
そうこうしているうちに暗くなってきた。
しかも、所持金がもうわずかになっていた。
雨が弱まったのを見計らって、雨天装備で出発。あんなに暑かったのに、夜は寒い。
トロトロと進み、何とか金沢市入り。
すでに真っ暗で、雨もやみそうにない。しかも全身ずぶ濡れだ。風呂でも入らないと風邪引きそうだ。
・・・さて、どこに泊まろうか。テントなんか無理だし、場所もないし。
YHもないし、安い民宿もない。だいいち、所持金約3000円。
中途半端に食べたおにぎりで、まだ腹がへっててたまらん。
何も考えずにペダルをこぎながら進む。
ふと、健康ランドの看板が見えた。ここで夜を明かすか・・・。
入ってみて一泊いくらですか、と聞くと、7000円。むり、ダメだ。
トボトボと健康ランドから出てくるとタクシーの運ちゃんに話しかけられた。
運ちゃんの話によると、一泊するのではなく、仮眠室で寝れば7000円なんてかからないという。
確かにその通り。その上、500円の割引券までもらった。
料金は大人2000円。
後で気づいたが、仮眠室で一泊してしまうと健康ランドをでるときに延長料金として追加1000円徴収される。
つまり、500円の割引券がなければ合計3000円となり、お金が足りなかったところだ。
運ちゃんには何度も「ありがとうございます」とお礼を言った。
風呂は大きく、気持ちよかった。ほとんど貸し切り状態。
仮眠室では爆睡。
運ちゃん、ありがとう、ほんとに。風邪引かずに済んだよ。