自転車の旅
今日は曇りでそれほど暑くはなさそうだった。
49番浄土寺から51番までは、松山の市街地を走る。
51番石手寺には出店の通りがあり、独特な雰囲気だった。
店で売っているのは、大抵おへんろグッツ。
:: お寺にある出店 ::
石手寺の三重棟の元に「お砂撫で お遍路」があった。
これは八十八ヵ所を砂を撫でて回ろう、というもの。
今まで通って来た、寺の名前と思い出を照らし合わせながら触っていく。
:: お砂撫でお遍路 ::
52番太山寺を目指すつもりが、地図帳に載っていない新しいトンネルを通ってしまい、53番円明寺に来てしまった。
その後は海沿いを北上する。
海を見ながら走るのは久しぶり。海水浴を楽しんでいる人もいる。
ところが、昼飯を食べるつもりで立ち寄った道の駅「ふわり」で、急に雲行きが怪しくなってきた。
すごい勢いで暗い雲が空を覆って行き、雷と共に猛烈な雨が降り出した。
あまりに雨がひどいため、ウィンドブレーカーを着ても無理そう。
というわけで、休憩。いつの間にか少し寝ていた。
少し弱まったので、出発。久しぶりの雨の中での自転車。
54番→56番→57番→58番の順に回った。
このうち、58番仙遊寺はとんでもないところに建っている。
行くまでの道は勿論登り道。自転車を降りてからも長い階段を登っていく。
途中、水を汲むところがある。ふたを開けてみると、透き通った水が湧き出ていた。
わざわざこの水を汲みに来る人もいた。
飲んでみると冷たくてさわやか。つい、ありがたい水をゴクゴク飲んでしまった。
今日もまた丁度いいところに健康ランドを発見。
テントを張れる場所を探すには少し遅い時間になっていたので、今日はここでいいや。
20mもあるプールのような風呂なんかを楽しんだ後、すぐ仮眠室で寝てしまった。
今日は暑くなりそうな天気。せめて今日だけは涼しい日であって欲しかった・・・。
というのも、今日はお遍路中、最難関と呼ばれる60番横峰寺に登る日だから。
朝起きて、早速 55番南光坊へ。
いままで○○寺だったけど、珍しいことに、「坊」
納経の時に書いてくれたお坊さんとしばらく談笑。横浜の話で盛り上がった。
59番国分寺は道に迷い、国道196号でスイスイと62番宝寿寺、61番香園寺へ。
この香園寺が巨大、というかモダンなお寺。
今までの「お寺」のイメージを打ち破る姿をしていた。
:: モダンなお寺、香園寺 ::
大聖堂のなかは、ホールみたいな構造になっていて、何人も収容できる。
ここで話を聞いてみると、60番横峰寺へは63番吉祥寺へ行った後、登った方がいいらしい。
というわけで、63番吉祥寺へ。
ここで、経験から得た知恵を活かして、「往復する登り道は荷物を下に置いておくべし」
体力的にも、安全的な面からも不必要な荷物を積んで坂道を攻めるのは危ない場合がある。特に下り道。
吉祥寺の方に頼み、隅っこに荷物を置かせてもらった。
さぁ、準備は整った。いざ、最難関 60番横峰寺へ!
県142,12までは、荷物を下ろしたこともありそれほどキツくはない。
問題は、料金所を越えてから。(ちなみに、この料金所では自転車はタダ)
斜度は10%を越えるところがしょっちゅうで、路面状態も悪い。
この道は雨が降るとよく土砂崩れが起きて通行止めになることもあるそうだ。
現に少し前まで、通行止めだったらしい。
そんな道には土砂崩れの傷跡が所々に残っている。
復旧作業もまだ途中で、なんとか土砂をどけただけという所もあった。
:: 横峰寺の道中にあった土砂崩れ ::
焼山寺よりもキツイっていうのを体をもって感じた。
細かい休憩をとりながら、何とか2時間位かけて登りきった。
さっきまで海沿いを走っていたのに、今は標高約700m。
見晴らしはさすがにいい。
あー気持ちいいー。
:: 横峰寺 ::
横峰寺は静かな山奥にあり、落ち着いた雰囲気を感じた。
泊まれるものなら、一泊してみたいなぁ。
下山では、恐ろしい位にスピードがでそうになるので、常にブレーキをかけながら。
荷物を置かせてもらった吉祥寺の方にお礼を言い、64番前神寺へ。
国道11号で四国中央市に入る。
地図帳には四国中央市なんて地名はない。最近統合した、変わった名前の市。
野宿場所がなかなか決まらず、フラフラして周りがすっかり暗くなったころ、ある神社の隅にテントをはらせてもらえることになった。
ありがとうございます!!
しかも、わざわざ晩飯にと鯛飯までいただいた。
気を遣ってもらい、なんだか申し訳なく感じてしまった。
とんでもなくおいしくて感激。自分で焚いたご飯とは比べものにならない。
ヘトヘトに疲れていたけど、感謝の気持ちで一杯。
朝、テントをたたんで出発しようとすると、神社の主人がわざわざ朝食にとおにぎりを用意してくれた。
気を使っていただき、繰り返し感謝。お世話になった神社にもお参り。
:: お世話になった神社 ::
お遍路はもちろん、仏教。神社は神道。
自分にとって、お遍路=仏教という解釈はほとんどない。
このお遍路自体に宗教的な“何か”を求めているわけではない。
宗教がどーのこーのという以前に、お世話になったんだからちゃんと感謝しよう、という単純なスタンス。
65番三角寺を目指す。途中からだんだん坂道がきつくなっていく。ただ、距離自体はそれほどない。
三角寺で愛媛県とはさようなら。
涅槃の道場、讃岐の国、香川県こんにちは。
これが最後の県になるのかと思うと、ちょっと切ない。
香川県に入っていきなり目指すのは66番雲辺寺という、お遍路中最高地にあるお寺。
このお寺にはロープウェイで行くのが一般的。
自転車で行こうとすると、徳島県から登らなければならないらしい。それだけ山奥に建っているってこと。
ロープウェイがあるから、そこまでの道は比較的楽なのかと思いきや、なかなかキツい。
このロープウェイ、支柱間隔、速度が日本最速らしい。
眼下にはうっそうと繁る木々。景色は怖いくらいにいい。
雲辺寺は気温23度と涼しい。お寺には500体の石像があったりと特徴的。
ここで仲良く話した、年配の女性お遍路さんにきれいな赤い錦模様の納札をもらった。
このときは気づかなかったけど、納札はお遍路の回数に応じて種類がある。
ちなみに、錦の納札は100回以上(!!)まわった人が持っているらしい。
す、すごい……。
68番神恵院と69番観音時は同じ一つの境内にある、珍しいお寺。ちょっと得した気分。
68番神恵院はコンクリートでできて新しいのに対し、69番観音時は昔ながらの歴史を感じさせるたたずまいがおもしろい。
70番本山寺には、88カ所中、4カ所にしかない五重塔がそそり建っていた。
:: 本山寺 五重塔 ::
71番弥谷寺は死霊(!)が宿るという、ちょっと怖そうな感じ。
行くまでの道も斜度10%を超え、つくまでにヘトヘト。着いたと思いきや、長ーい石段が待っていた。
ひぃぃ、死霊もたどり着くので精一杯じゃないかな
:: 長ーい階段 ::
今までお寺とはちょっと雰囲気の違うのを感じた。岩と本堂が一体化しているような感じ。
72番曼陀羅寺と73番出釈迦寺は近くて回りやすい。
その後、74番甲山寺へ。この辺りの地形は四国特有のものを感じる。
甲山は平地にポッコリとした山で、お寺はそのふもとにある。
今日は久しぶりにYHを利用してみた。
今日は距離的に近いところが多く、たくさん回りたくさんの人に出会う事ができた。
ただ、だんだん終わりが見えてきたのが、ちょっと寂しくなってきた。
暑い!やっぱり夏だ。
まずは75番善通寺へ。ここは大師生誕の地として有名。
境内に入って驚いたのは、寺の規模が大きい。
どの建物が何なのかよくわからないくらい。さすがに歴史を感じさせるものがあちこちに。
:: 五重の塔 ::
78番郷照寺ではお団子を食べた。休憩にはもってこい。ごちそうさまでした!
81番白峰寺は目の前にそびえ立つ山の上……
ここらへんの地形は独特で、あちこちにポコポコと山が点在したり、つながっていたり。
登り始めたのは正午ぐらいだったせいもあり、日差しが有無を言わさず注ぎ、体力を奪っていく。
汗だくでヘトヘトなのに加えて、左膝が少し痛みだした。ここは鎮痛剤を飲んで、少しペースを落とす。
スカイラインを通り、82番根香寺へ。アップダウンの繰り返し。
82番でお遍路さんに会った。おあばちゃんお遍路さん達だ。「孫に似とる!」と言ってポカリスエットをくれた。
話を聞くと、前のお寺でも見かけたらしいし、車ですれ違っていたらしい。
自転車だし、汗だくでじゃっかんフラついて(?)いたから目立っていたのかもしれない。
お遍路特有の再会がおもしろい。お礼をいい、いただいたポカリスエットは一息で胃の中へ。
おばちゃんお遍路さんたちは既に83番一宮寺を打ったらしいので、多分これで再会はないと思った。
そう考えるとちょっと寂しい。
83番一宮寺で、高松市街に入ってきた。
時間は既に17時を過ぎていた。84番屋島寺の道中でテントを張れる場所があればそこで泊まろうと考えて自転車をすすめる。
ところが、市街地だけあって、テントを張れる場所はなかなか見つからず、結局屋島寺のふもとまできてしまった。
この付近で健康ランドの看板を見つけ、結局そこに泊まることにした。
それにしても最近健康ランドで泊まる機会が多い。というか、ちょうどいい所に建っている。
明日で結願。
88カ所もあったのに、あと残り5カ所だけ。
にわかには信じられない。いつ終わるかわからない事に終わりが見えると、いつの間にか寂しくなってしまうのはヘンな感じ。
そんなことも思いながら、いつの間にか寝ていた。
結願の日。
84番屋島寺を目指して走り出す。
屋島寺へはケーブルカーという変わった乗り物で行けるが、そのケーブルカーが休業中。
車は有料道路。自転車は走行できないらしい。
ということで、徒歩でのぼることに。
とりあえず自転車で登れるところまでの道を教えてもらった。
だんだんと坂道は急になり、ついに……
:: こんな斜度、見たことない ::
でたー!今までの自転車の旅中最大斜度21%!!
連続で100mも漕げない。言わばスキー場を逆走するようなもの。
ここは意地で少しずつ登った。(歩いて押した方が早い…)
勿論、こんな道は長くは続かない。
ある程度進むと、歩行者道路が現れ、そこからは歩いて登る事になった。
この道は近所の方のウォーキングにも活用されているようで、気持ちよく挨拶をして登っていけた。
85番八栗寺を目指す途中に下のような看板が。
:: 世界の中心で ::
「世界の中心で愛を叫ぶ」のロケ地!
看板が立つくらいの観光スポットになっているのか。珍しいものを発見したもんだ。
85番八栗寺へのケーブルカーが通っている。
今度は営業していた。人生初ケーブルカー!
自転車も載せられるよ、と言っていただき、載せてみた。
八栗寺のすぐ近くには大きな岩がむき出し。
:: 五重塔ラスト ::
86番から88番へは県道3号を山の方へ登って行く。
86番志度寺では最後の五重塔が迎えてくれた。
87番長尾寺。ここから気合いを入れ直して88番に臨む。
最後まで厳しい道が続くお遍路、気が抜けない。
88番大窪寺までの距離を看板が示してくれる。あと、10km、5km、3kmといった具合に。
その度に、あぁもうすぐだ、もうすぐだと思っているうちに、大窪寺の門が視界に入った。
立派な門が迎えてくれた。
:: 最後のお寺、大窪寺 ::
興奮を抑えて、いつもと同じように参拝して、納経。
一連の流れがいつものように進み、自分のお遍路はここで完結した。
写真を撮ってもらった方に、「自転車で来たんか、そうか、おめでとう!」と言われ、あぁ終わったんだなぁ、と割と冷静。
ゆっくり、目に焼き付けるように境内を周り、帰路へつく。
:: 納経帳 - 結願 ::
さっき登った道を少し下り、国道193方面にある高松空港を目指す。
この国道193でついに、お遍路道から大きく外れていく。
ここまでお遍路の道を案内してくれる看板とは違う方向へ。
看板、Thanks!
:: 今までお世話になった看板 ::
背にする遍路道を惜しみながらも走り出した。
その後、通り雨に遭遇したりしたけど、高松空港に到着。
飛行機の中で、自分にとってお遍路とは一体なんだったんだろう、と考えようとすると、いつの間にか寝ていた。
そんな難しいこと、よくわからん。
:: 帰路 ::
次に気づくと、着陸間近。
羽田空港から横浜へはバスで移動し、そこから大学に寄ってから帰った。
家に着き、シャワーを浴びて寝ようと思ったら、シャワーが冷たい。
そういえば、ガスが故障しているのをすっかり忘れていた。
道中、冷たいシャワーを浴びた事もあったなー
不思議と納得して、久しぶりに自分の布団で寝た。
また、いつかお遍路に出かけたい!
そのときは、この日記帳、納経帳でも持って行くと面白い事になるかな。
同行三人!とか。
:: 思い出いっぱい納経帳 ::
~~~~~
道中、本当にたくさんの人に道を教えてもらい、水筒に水を補給してもらい、お接待を受けたりとお世話になりっぱなしでした。
何かお返しにできる事はないかと考えても、なくて、ただ感謝を言葉にするに終始しただけでした。
お寺の方にも声をかけていただき、心温まりました。
何かクサーイことになってしまいましたが、次の一言はちゃんと言いたいです。
お世話になった皆様、本当にありがとうございました!
お世話になったお遍路の宿にお賽銭をいれて出発。
出発してすぐに真弓峠越えが待っていた。
44番大宝寺と45番岩屋寺は道には45→44と行った方が同じ道を往復しなくて済む。
45番岩屋寺は名前の通り、もの凄いところに建っていた。
駐輪場からかなりの坂道、階段を登る。
途中すれ違う時に、「もう少しですよ」と声をかけてもらえた。おし、がんばるっす!
本堂は断崖絶壁の岩肌にくっついて建っている。
:: 整然と並ぶ石像 ::
:: 岩屋寺=岩+寺 ::
んー、凄い迫力。(写真からは伝わらないけど・・・)
参拝して階段を下ると、入り口で出店をしているおっちゃんが「休んで行きなさい」とスイカをご馳走してくれた。
スイカが冷えてておいしかったぁ。ありがとうございます!とお礼を言って再出発。
この後、三坂峠にアタック。
標高720m、なかなかキツイ。国道33号は交通量が多くて恐かった。
山が開けていき、久しぶりに海を見た気がした。
:: 瀬戸内海まで見える ::
下りはかなりのスピードがでる。
下り道の途中、46番浄瑠璃寺への別れ道がわからない。
丁度、若いお遍路さんにばったり会い、道順を教えてもらえた。
塩ヶ森トンネルに入るちょっと前にある、幅の狭い道路を下っていく。
おそらく普通の車は通れそうにない。
浄瑠璃寺の後はすぐ近くの八坂寺へ。
もう少し走ると、西林寺に。西林寺には名水も。
:: ありがたいお水 ::
松山の市街地に近くなってきたため、野宿はせずに健康ランドへ。
丁度、次のお寺の近くに健康ランドがある。
今日はここで一休み。